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2025-10-12

団地大学第3回ワークショップに参加しました

4月から学生主体で計画をし、9月28日~10月4日、5日で団地大学第3回ワークショップが開催されました。

赤羽台団地および2023年に新設された「URまちとくらしのミュージアム」を舞台に、今後の未来の団地のあり方を考えるワークショップ。3年目になる今年のテーマは「団地のアクティビティ・セッティング:場と人のつながり方」。団地の再生や活性化を考える研究者や建築家らが集まり、千葉工業大学 田島研究室および東京理科大学 熊谷研究室の学生と共にまちや都市について議論し、提案を行いました。

ゲストには、神戸芸術工科大学学長、日本建築学会 建築計画委員会 UR集合住宅団地・保存活用小委員会 委員長の、松村秀一さんをお迎えし、講評や議論を通して多角的な視点から団地の価値や可能性について学ぶ機会となりました。

本ワークショップでは、複数のグループに分かれ、それぞれが独自のテーマを設定して赤羽台団地の空間や人々の暮らしにアプローチしました。以下では、各グループの取り組みの一部を紹介します。

各グループの声

学生1

「赤羽台団地内に点在するベンチやテーブルが十分に活用されていない現状に着目し、住民と協働しながら新たな居場所の可能性を探ることを目的として活動を行いました。
住民との交流を促進するため、「ダンボールで作る持ち運び可能な椅子」を設計・製作し、建築学生ならではの実践的アプローチによって小学生や親子層の関心を引き出しました。ワークショップを通して、公園の遊具付近に大人が滞在できるベンチが不足しているなど、年齢層や利用目的に応じた空間の課題を明らかにすることができました。
本取り組みにより、団地において多様な世代がうまく活用できる新たな居場所の在り方を再考し、今後の地域空間の活性化に向けた可能性を見出すことができました。」

学生2

「赤羽台団地にある多様で豊かな形のデザイン、とりわけベンチに注目し、日常に埋もれた団地の魅力を見立ての手法で再発見することを目指しました。
活動では、①既存のベンチを1:1で模倣し別の場所に設置する、②ベンチのシルエットを2Dで抽出してブレスレットや下駄など別の形に見立て、展開図を用いて立ち上げる、の2つの方法を試みました。
多様な世帯が暮らす赤羽台団地の中で、見過ごされがちな場所やデザインにもう一度目を向け、「そういえばこんなベンチあったね」と思い出されるようなきっかけづくりを通して、団地全体の風景を捉え直すことができました。ワークショップ当日は、1:1で作ったベンチに住民の方が座ってくださったり、子どもたちが興味をもって触れてくれたりして、達成感がありました。」

学生3

「赤羽台団地内にある、使用頻度の少ない共用空間(小道やベンチ)に注目し、自分の「好き」を持ち出して団地の風景を豊かにすることを目的としました。
背景として敷地調査から、ベンチには松ぼっくりを並べた跡や、誰かが落とし物を置いていた風景があり、そのささやかな場面が団地の風景を豊かにしているのではないかと考え、このような場面を作るための手段として自分たちの「好き」を埋め込んでみることにしました。
「好き」を埋め込むために簡易的に作成可能な、1面が空いた木の箱3つと1本の柱を用意しました。これらを1セットとして合計で4セット作り、家具に見立てて実際に団地内に置いていきました。
4セット使うと、布を用意することで自分だけの隠れ家を作ることができ、2セットの場合には紐を用意することで洗濯物を干せる場所に、木の箱だけを使う場合にはベンチの上に気軽に置ける机の役割も果たせます。
簡単な操作で共用空間に風景を作ると共に、住民の方にも間接的に共用空間の使い方を見せることができた、いわゆるきっかけを提供するようなワークショップとなりました。」

異なる背景を持つ仲間との対話を重ねながら、アイデアを形にしていくプロセスは、建築・まちづくりを学ぶうえで大きな学びの機会となりました。また、ワークショップという形で生まれたアイデアを実際の地域に還元していくアプローチは、授業設計では得られない貴重な経験でした。今回の活動を通して、現場での対話や実践の大切さをあらためて実感するとともに、地域との関わりがもたらす学びの深さを感じることができました。

最後になりましたが、本ワークショップの開催にあたりご協力いただいたUR都市機構の皆さま、そして活動を温かく見守りご指導くださった先生方、ありがとうございました。

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