ナイロビ調査
8月10日〜21日に井本先生と有志の学生5名がケニアの首都ナイロビでアフォーダブルハウジングの調査を行いました。
今回はナイロビの中でも最大規模のキベラスラムで、スラムの住環境の改善プロジェクトについて調査をしました。KENSUPとRailwayの2つのプロジェクトの住宅に住まわれている方を対象として、インタビューと実測を行い、実際の住宅の環境や住宅周辺の情報収集、居住までの経緯などについて調査を行いました。
KENSUPは、UN-Habitatと政府によるスラムの人の住宅・生活基盤の改善事業、Railwayは、鉄道エリアの再開発としてスラムの居住者に対して住宅を供給する取り組みをおこなっています。どちらのプロジェクトもキベラスラムを中心として展開しています。
本調査では、東京理科大学の足立壮太先生、奥様の島田絵さんにも同行していただき、調査を行いました。また、ナイロビ大学のPeter Samuel Nyagaya氏と学生5名には調査のサポートを、そして現地のDavid Musili氏・Fidel Kamose氏・Legend David氏・Maurine Adisa氏・Peter Gichomo Njuguna氏にも地域の案内や調整を行っていただきました。皆様にご協力いただき無事調査を遂行することができました。ありがとうございます。
今回は調査の内容や、ナイロビ短期滞在からの学びを参加した学生に聞いてみました!写真とともにご紹介します。
○インタビュー調査
ナイロビの学生とニコイチになり、スラム改善住宅に居住している方に、家族構成や家賃、普段よく行く場所、ここに居住するまでの経緯などを伺いました。ナイロビ大学の学生がスワヒリ語から英語に訳してくれて、言語の壁を超えた調査を行えたことに達成感を味わいました。特に政府による強制撤去によって住んでいた家や自分のお店を失った話からは、彼らの生き様を肌で体感でき、非常に貴重な機会となりました。素敵な経験をさせてくださり、協力してくださった全ての皆様に感謝しております。

ナイロビ大学の学生や現地の方にたくさんサポートしていただきました!
インタビュー担当学生:宮﨑はなえ(日本女子大学)Bancy Kambua・Ruth Misiani (University of Nairobi)
○実測調査(室内環境)
今回のキベラでの住宅調査で私は大きな衝撃を受けました。狭い空間に多くの人が暮らしており、十分な明かりや風通しが確保しにくく、衛生環境もあまり良くありませんでした。知識として理解していたつもりでも、実際に目の当たりにすると改めてその厳しさを痛感しました。その一方で、限られた条件の中で少しでも快適に暮らそうと工夫する人々の姿に強さを感じました。厳しい環境に向き合う姿を見て、住まいをどう良くできるかを共に考えることの必要性を強く意識しました。

ケニアのお昼ご飯
実測調査(室内環境)担当学生:来住春奈(日本女子大学)Japheth Cheruiyot・Michael Kibuchi (University of Nairobi)
○実測調査(周辺環境)
キベラスラムでのショップ調査では、店舗前に屋根を増設して自分の営業空間を広げるなど、工夫しながら生計を立てている様子が印象的でした。また、住宅不足のため店舗用の居室が住居として使われるケースも多く、商売と生活が強く結びついていました。さらに、オーナーや借り手の条件によって賃料に大きな差が生まれ、格差拡大の一因になっていることを実感しました。

図面に書き起こしている様子

このようなショップが軒を連ねています
実測調査(周辺環境)担当学生:手島愛果・藤原すみれ・三橋花香(日本女子大学)Rivier Nyongesa Wafula (University of Nairobi)
○訪れた場所で印象的だったところ
休日にはナイロビ市内で特別な体験をしました。ナイロビ国立公園では都会を背に広がるサバンナで野生動物を観察し、ライオンがシマウマを捕食する姿やキリン、シマウマ、バッファローなどを間近に見ることができました。ジラフセンターでは顔の高さでキリンに餌を与え、長い舌で器用に取る迫力を体感しました。さらにマサイマーケットでは交渉を通じて民芸品を手に入れ、作り手の思いに触れながら買い物する特別な時間を過ごしました。

ナイロビ国立公園のキリン
○調査を通しての学び
今回は、住宅やショップについて実測調査やインタビュー調査を行いました。現地の人々はとても気さくで明るい印象を受けましたが、実際にお話を伺うと、生活スタイルや暮らし始めた経緯が一人一人異なり、暮らしの中で感じている不満や問題も数多くある事が分かりました。また、その人の置かれた状況や立場によって意見や考えが複雑に絡み合っており、より良い環境をつくっていくために何ができるのか改めて考えさせられる貴重な時間となりました。

以上学生からのコメントでした。
ナイロビ滞在中には、調査以外にもUN-Habitatへの訪問、ナイロビ国立公園のサファリ体験、ムクル地区のノンフォーマルスクール訪問を行い、非常に充実した12日間を送り、初めてのケニア生活を楽しく過ごしていました。
改めて、ご協力してくださった全ての方に感謝申し上げます。
Asante Sana!