ムクルスラムにおける屋根建設
8/26〜9/4にかけて、ムクルスラム(ケニア・ナイロビ)にて、学校の屋根を架け直す建設作業を行いました。
既存の学校の屋根には、雨漏りと採光不足という2つの課題がありました。
そこで今回は、これらを解決しつつ、より快適な教室空間を目指して設計・施工を行いました。今回の設計では、元の教室の屋根を完全に取り外し、新たに柱を建て、教室の壁とは独立した屋根を設置しました。
設計段階では、井本先生が手描きで書いた図面を元に、日本女子大学の学生で寸法や角度等を調整しながら、実際に建設できるようCADで図面化しました。しかし、現地の教室の正確な高さや幅が定かではなかったため、現地に到着してから実測をし、最終的な図面が確定しました。図面をもとに模型も作成し、現地へ持っていきました。

実際に現場で作業を進めていく中で、図面通りに作業を進めていても、材が曲がっていたり、割れていたり、サイズがバラバラであったりなどで高さや幅がずれるなど、トラブルが度々発生しました。
しかし、Fundi(スワヒリ語で職人という意味)や建築家、ナイロビ大学の建築学生など現地の方達の知恵と技術でひとつずつ解決していき、無事に屋根を完成させることができました。
特に職人達の知識と技術力は素晴らしく、起こりうる問題を予測し、回避するために、より効率よく確実にできる方法を提案しながら進めてくれました。その姿を見て、経験値の差を知ったと同時に、現場で培われてきた知識と技術の高さに驚きました。
釘打ちひとつをとっても、私たち学生は1本打つのに何分もかかってしまうのに対し、彼らは数秒で打ててしまったり、作業スピードの速さにも圧倒されました。高い場所での建設作業もありハシゴが必要になったときには、廃材で短時間のうちに立派なハシゴを作ってくれたり、既存の教室の壁が斜めになっていて、図面通りに屋根の骨組みが入らないトラブルが発生した時には、教室の壁の方を立て直したりと想定を超えてくる作業工程もあり、見ていてとてもワクワクしました。


最終的に、元の屋根よりも約1.5m高く、サイドを透明な波型シート(トランスペアレントシート)で覆ったことにより、採光も十分に確保できる屋根が完成しました。トタン屋根は穴が空いてる部分で切り、一部を再利用しつつ、新しいトタンも組み合わせることで、雨漏りの対策も行いました。
今回の建設作業を通して一番感じたことは、ルールや型にとらわれない自由な建設を行う面白さです。
インフォーマルなスラムという環境下だからこそできた部分もあると思いますが、どんな状況でも即座に最適な答えを導き出す職人たちの姿はとても印象的であり、心強くもありました。
日本のように道具に頼るのではなく、目や感覚、1本の糸を頼りに水平や高さを調整する姿は手元にある材料だけで生み出す知恵というものも体感することができました。

今回の滞在期間中に見届けることができたのは、最後のコンクリート打設の途中までだったので、教室に家具が入り実際に使われている姿は見られませんでした。再びムクルへ訪れた際には、教室が使われている様子や実際の使い心地(良かった点も悪かった点も)を聞けるのを楽しみにしています。


<現地での主な作業工程>
1日目(8/26):実測、図面確定、必要な材の長さと数のリストアップ
2日目(8/27):教室の既存の屋根の取り外し
3日目(8/28):建設作業開始、屋根の骨組み3/4完成
4日目(8/29):屋根の骨組み完成、教室内での組立作業
8/30:日曜なのでお休み
5日目(8/31):骨組みの組立完成
6日目(9/1):母屋設置
7日目(9/2):ワイヤー張り、間仕切り壁設置、透明シート・トタン屋根敷設
8日目(9/3):残りの透明シート敷設
9日目(9/4):コンクリート打設(職人達による)


(内山)









