toggle
2023-09-15

原発被災地の「通い」に関する調査

こんにちは。修士2年の土川です。私は8月上旬と9月上旬に修士研究で取り組んでいる原発事故被災地での「通い」に関する調査を福島県富岡町で行いました。

福島県の原発事故被災地では、放射能汚染により先の見えない避難を余儀なくされ、長期間避難先での生活を強いられました。12年が経過した現在は避難の長期化や、避難先での生活再建など様々な事情で原発事故の被災地である故郷の方には「戻らない」や「判断できない」という選択をした方が多く存在しています。このように被災者の方々は未だに多くの苦悩を抱えているのが現状です。

そういった避難先で生活の基盤を整えている人の中には、完全に故郷とのつながりを断ってしまうのではなく、避難先から元々住んでいた原発被災地の故郷に「通う」という生活を続けている方々がいます。今回の調査ではそのような「通い」を行う方々の住まい方や家屋・土地の活用方法について10名の方にヒアリング調査を行いました。

今回の調査を通して「通い」には様々な形があることがわかりました。

例えば、避難元の行政区の集まり等で月数回通っている方や、仕事の関係で避難先からほぼ毎日通っている方、震災前から所有していた避難元の山や畑の管理のために通っている方、帰還に向けて自宅を整備するために通っている方がいらっしゃいました。

果樹を植え、管理している避難元の山
農業再開のために整備している田んぼ
地権者から土地を買い取り整備される防災林

震災・原発事故から12年以上が経過し、被災者は様々な選択を強いられた中で生活を再建してきました。そして現在では調査したように避難先から避難元に通う方が存在しています。今後はそれぞれの人が震災以前どのような暮らしをしていて、現在は通いを含めてどのような暮らしをしているのかを整理し、分析を進めていきたいと考えています。

関連記事